日本は世界と比較しても、緩和ケアの取り組みが遅れていると度々指摘されています。その理由は、治療研究が優先された事が大きいのではないでしょうか。治療薬を開発すれば、きっとがんは治るという期待感は非常に強かったのではないでしょうか。しかしながら実際には、がんの正体というのは非常に難しくて、なかなか治療が一気に改善するまではいかなかったのです。そこで、がんの原因や治療の研究に加えて、がんの痛みに対する研究も平行してはじめる必要があると考えたわけです。これまでは、がんを治す事が一番大きな目的であり、緩和ケアは治療のあとに行われるという形でしたが、これからは緩和ケアと治療を一緒に行っていく事が必要です。治療が行われているさなかでも、患者さんには様々な辛い事があります。早い時期から治療に並行して緩和ケアを行う事が大切なのです。